1999年。ひとりの男がエジプトを発った。ホル・ホース……。かつて〈DIO〉の配下であり、〈皇帝〉と呼ばれたスタンド使い。
現在、探偵業を営む彼の目的は、〈DIO〉が飼っていた一羽の鳥だった。
ボインゴの予知が示した地・日本へ向かったホル・ホースは、ひとりの少年、東方仗助と出会うことになる――。
これは、なくしたものを探し求めている者たちの物語である。
『恥知らずのパープルヘイズ』の上遠野浩平先生が描く、ジョジョ第3部と第4部の狭間の物語!!
原作の紹介文は上記の通りだが、その原作小説は未読。
とはいえ、漫画版はなかなか面白く読めた。
第3部と第4部の狭間という設定が実にうまい。
スタンド能力が「過去を再現する」タイプなので、
3部の出来事を部分的に追体験できるし、
「ああ、ここから4部に繋がるんだな」という要素も自然に組み込まれている。
ただ、上遠野浩平としての独自色は、あまり強くは感じなかった。
もしかすると、あえてそういった“作家性”を前に押し出さず、
パスティーシュとして徹しようとした結果なのかもしれない。
あるいは漫画版であることで、削ぎ落とされてる要素もあるかもしれない。
その分、独自の路線を平行して走らせた乙一には及ばないし、
逆に西尾維新のような大失敗もしていない。
いわば、堅実で安全にまとめたジョジョ外伝、という印象か。
とはいえ、既存の物語とは違う形でジョジョの世界を再体験できたこと、
また、スタンドバトルは視覚的な方がいいだろう、という点で、
満足度は感じられた作品だった。


