新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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早朝始発の殺風景

早朝始発の殺風景 (単行本)

早朝始発の殺風景 (単行本)

 
青崎有吾にしては、実にライトな作品集。
既読だった表題作を除いては、謎は一点だけで、解決は一瞬で訪れる。
 
その分、伏線はたっぷりと張ってあるので、伏線の回収を楽しめる作品集にはなってるけど、
この作者ならば、もっとロジックを読ませて欲しいと思えてしまう。
 
表題作が評判良かったので、同じような作品をというリクエストでもあったのか、
”ワンシチュエーション&リアルタイム進行の青春密室劇”という、
緩やかなくくりでまとまって書いてみました、というところなのかと想像している。
 
ただ、やはりそのきっかけとなった表題作だけが突出している。
シチュエーションの面白さから、並行する二つの謎解きという複層性、
最終行のファイナル・ストローク(最後の一撃)のインパクトに至るまで、
これだけが飛び抜けてるので、他があまりにもかすんでしまう。
 
そういうバランスがどうしても寂しいので、採点は6点。