- 作者: 似鳥鶏,友井羊,彩瀬まる,芦沢央,島田荘司
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2018/08/29
- メディア: 文庫
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「紐を使って外部からクレセント錠を回して閉める」という
共通の密室トリックを使った競作に若手作家四人が挑戦したもの。
そういうこじんまりとしたトリックが趣向になってるせいか、
いずれもちっちゃくまとまった作品ばかり。
最近着目した似鳥鶏も、全然はっちゃけてなかたっし。
芦沢央も心理の驚きのない作品だったし。
トリックが最初から指定されてる趣向なので、
自ずと倒叙に流れやすくなってしまってるのも、
作品としての膨らみを狭くしている要因だと思う。
というわけで、ちょっとユニークな趣向だと最初は期待したけど、
結果的には趣向自体が失敗だったというのが私の結論。
……ってなところに、乱入してくる御大、島田荘司。
若手四人が50頁前後の中で、自分だけはその倍の約百頁。
「紐でクレセント錠を閉める」という、そもそもの趣向さえ無視。
(クレセント錠のトリックを使ってはいるものの)
しかも、長編「鳥居の密室」の作中作を抜き出したものらしい、
という傍若無人さがすさまじすぎる。
でもって完成度は若手達をはるかに凌駕してるってわけで、
御大、大人げなさ過ぎる……
ま、それがあっても、採点はやはり6点止まり。