新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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U[ユー]

U (Fx COMICS)

U (Fx COMICS)

  
女性作家ならではの気持ち悪さが、非常に良く表れた作品なんじゃないかと思う。
本作の場合のそれは、どことなくぬめりとした毒とエロスの両立かな。
これは批判的な意味ではない。そういう特徴的な要素は魅力にもなり得ると思うから。
 
画風も作品もオリジナリティがあって、独特の雰囲気を持った作者だけど、
こういうタイプの作品を重ねて読みたいとは思えないかなぁ。
 

Silent Blue

Silent Blue (Feelコミックス)

Silent Blue (Feelコミックス)

 
以前「世界の合い言葉は水」という作品集を読んだことのある作者。
それが奇想に満ち溢れた作品集だったので、このSF漫画にも挑戦。
 
でも、これは特に奇想というような話ではなかったな。
隕石落下によって出来た湖に、記憶を求めるヒロインを描いた作品。
 
水にこだわる作者だから、水に潜るシーンや、水中の街の情景など、
描写はいいんだけど、ストーリーとしては中途半端。
 
街に秘められた秘密が明らかになっていくような展開にしておいて、
そこには何も決着を付けずに完結って、そりゃ無いよ。
 
雰囲気は良かったけど、これはやっぱ失敗作でしょ。
 

二人の星の蒼ざめた都市

土曜日は一日中雨だったので、日曜日は町田まで歩きing。

1.はアガサ・クリスティーの名作を昭和初期の日本を舞台に完全リメイクした第二弾。おそらく原作は未読だと思うので、これで読んでみるかと。同じ星野でも、2.はいつもの星野。百円棚に未読作品があれば買うことにしている。
 

高橋留美子劇場REMIX Side:RED

高橋留美子劇場REMIX SIDE:RED (My First Big SPECIAL)

高橋留美子劇場REMIX SIDE:RED (My First Big SPECIAL)

 
やっぱホントに高橋留美子は短編も上手い。
今回も一作の例外も無く面白い。
 
ホロリとニヤリの抜群のバランス感覚が流石としか言いようがないな。
 
収録作品は「日帰りの朝」「Pの悲劇」「迷走家族F」「ポイの家」
「おやじローティーン」「Lサイズの幸福」「浪漫の商人」
「茶の間のラブソング」「赤い花束」の9編。
 
既読作だけど、やはりベストは「赤い花束」かなぁ。
ユーモアとペーソスが絡み合って、最後にしんみりと余韻が残る。
第二位は変なキャラクタを出すことに関しては第一人者の作者らしい
「Lサイズの幸福」を選びたい。
第三位は「ポイの家」とか「浪漫の商人」とかも捨てがたいんだけど、
「おやじローティーン」かなぁ。
 

プリズムの咲く庭

プリズムの咲く庭 海島千本短編集 (BUNCH COMICS)

プリズムの咲く庭 海島千本短編集 (BUNCH COMICS)

  • 作者:海島千本
  • 発売日: 2019/03/09
  • メディア: コミック
 
ほとんどが他愛もない作品ばかりなんだけど、とにかく画が美麗。
(本書とは全く関係無い話だけど、これまでずっと「たわいもない」って読んでたし、
 調べてみても実際それでも間違いではないようなんだけど、ATOKでは
 「たわいもない」では変換されず、「たあいもない」じゃないと変換してくれないんだね)
 
この画を見てるだけで、気分良くなれる作品集だった。
 
ベストはダントツで、本書中唯一ストーリー性のある
「僕のソフィア」で決まり。
これがあるかどうかで、この作品集全体のイメージが大きく変わる。
(これ無かったら、画は綺麗だけど、作品は描けない人かと思ったかも)
 
残りは画の好みや、作品自体の可愛らしさが選択基準になっちゃう。
ってなわけで、基本的にはやはり長い黒髪がベストで、
ショートカット好きではないんだけど、第二位は「やがて咲くラミウム」で。
第三位は本書中でも可愛らしさが一番の「妖精の耳」だな。