神の光
昨年度の本ミス、堂々の第1位の作品。
なんといっても、消失ものだけで短編集を仕上げるという、
そのチャレンジ精神が凄すぎる。
まさに空前絶後。これから先も二度と出てくることはないかもしれない。
これだけで年間ベスト級は確定と言ってもいいだろう。
ただ、個人的には、強烈に推すことはできない。
何故なら、北山猛邦はやはり北山猛邦だったから。
彼がどうしても「物理の北山」だったからである。
消失ものって、本当に消失させるものじゃない。
消失したように見せかける、というのが定石。
いわば、消失ものとは「心理」のミステリなのである。
本書のタイトルの元ネタで、クイーンが示した道筋とは、
まさにそこにある。
定石を破ってこそのミステリ、という見方もあるだろう。
だがこれは、“本当の意味”での消失ものである代わりに、
“正しい意味”での消失ものではなくなっている。
そういう意味でも、個人的ベストは、
圧倒的に冒頭の「一九四一年のモーゼル」となる。
“そういう意味”を外した選択を行うなら、
次点はやはり表題作になるだろうか。
チャレンジとしては本当に驚異的な作品ではあるので、
採点はギリ、8点に乗せておくことにしよう。
