ドン・イシドロ・パロディ 六つの難事件
2001年度本格ミステリベスト10第一位作品の新書化(今年9月の刊行)。
一位ってホンマかいなと思えてしまったが、調べてみたら本当だった。
この作品を本格ミステリとして、そんなに評価する人達がいたのか。
いやぁ、もうとにかく依頼人達の話が、揃いも揃って饒舌で混沌。
目で読んで、大脳で処理されるまでの間のどこかの脳の回路で、
何十%かは湯気立てて蒸発してる感じがする。
スティーブン・キングは日常の固有名詞をふんだんに使用することで、
リアルとアンリアルとを上手く融合させていることが評価されているが、
本書では文学的、非文学的取り混ぜた固有名詞や言い回しをふんだんに使用することで、
文学と非文学との境界を混沌化(カオス化)させているような気がする。
そんなわけで、いったい誰と何がどうなってんのか、さっぱり頭に入ってこない。
でも、不安に思うこと勿れ。
ドン・イシドロ・パロディがわかりやすく説明してくれるから。
そう、もうまるでこれは”推理”なんかではなく、”説明”。
探偵役というよりは、神(作者という創造者)の視点でのナレーターと
呼ぶ方が妥当ではないかと思えるほど。
う~ん、本格ミステリか? 本格ミステリなのかなぁ?
どう評価して良いかわからないので、珍しさ度の高さで、ギリ7点。
あまりにも古い作品で、自分の採点基準もさすがに多少変遷してたりするので、
23年も前の順位表の更新は行わないでおこう。
恒例のベスト3だけど、順不同で、一応はトリックのある「世界を支える十二宮」、
スラップスティックなユーモア感のある「ゴリアドキンの夜」、
混沌度合いMAXで、構図のエグさもMAXな「サンジャコモの先見」ということで。