奸計の遁走曲
3年ごとに発売される、恒例の選者楽しすぎアンソロジー。詳細はこちら。
(ちなみに”たのしすぎ”ではなくて、”らくしすぎ”だからね)
そんな安直な編集方針で秀逸なアンソロジーが出来るはずはないけど、
そこそこ読み物としては愉しめるレベルはクリアされてるので、
こうして読んでしまうわけではあるけれど。
「最新ベスト・ミステリー」と謳うほどには、ミステリーしてない
とこも、これまたいつもの感じと言えるだろう。
そんな中でベスト3となると、どうしてもミステリ色の強い作品を
自分としては選んでしまうことになるわけで、
ベストはもう恒例のこの人、大山誠一郎「不運な犯人」で間違いなし。
第二位も東川篤哉「大山鳴動して跳ね馬一頭」になってしまう。
第三位も私のベスト常連、芦沢央「弱い者」だな。
とはいえ、裏ベストは一穂ミチ「花うた」だろうな。
これこそ本来のアンソロジーとしては採りたい作品ってのがよくわかる。
ミステリとは言えないけども、ミステリ周辺作品として、
ミステリアンソロジーの中にひっそりと紛れ込ませたくなる逸品。
こういうのこそアンソロジストとしての本領だもんね。
この作品ありきで、本来の編集方針をちょっとねじ曲げて、
30人の中にこの作家を強引に入れ込んであろう経緯が容易に推定できる。
この作品を筆頭に読み物としては愉しめたので、今回はギリ7点。