珠玉の名作アンソロジー 1 家族の情景
このアンソロジーはとても良かった。
どの作品も外れ無し。
「家族の情景」というテーマにピッタリ合っているかというと、
必ずしもそうでもないようには思えてしまう作品もあるが、
その一つ一つには、どこか必ず魅力のあるものばかり。
ベストは吉村明美「のら猫の話」で。
ほんわかしてるのに、その実ものすごく強烈な作品で。
迷子のところのくだりが強烈に沁みる。
テーマとの適合性も抜群で、これがベスト。
第2位は吉田秋生「ざしきわらし」で。
家族の情景とは違うと思うけれど、
ありがちに見えてありがちでない描き方かと思えた。
とてもほっとするラストシーン。
第3位は奈知未佐子「メリーゴーランドに乗って」で。
この人の描く、心優しいメルヘンは実に素敵。
その他の作品も、どれを次点に選んでもよい作品ばかり。
定番の作品ばかりというわけでもないのに、
アンソロジーといっても、ここまで粒が揃っているとは。
選者もわからず、誰にお礼を言えばいいかわからないが、
とにかくありがとう。