新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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新 謎解きはディナーのあとで

 
前シリーズは、後半はだいぶ劣化してたけど、久々の復活編。
 
充電期間(?)を経て、良いストックが溜まったのかという期待も何のその。
最初の二編のしょぼさ度合いに、こりゃダメだと投げ出しそうになる。
あまりにもちゃっちいトリック。
 
この人気シリーズで、こんな出がらしのような作品しか書けないようじゃ、
作者自身がもう出がらしに成り果ててしまったんじゃないかと、
投げ出しそうになったところで……
 
三作目の「墜落死体はどこから」が、個人的には痛快。
初期のヘンテコトリックメーカーっぷりが復活したような嬉しさ。
 
続く「五つの目覚まし時計」もなかなかの秀作。
あれが伏線だったのか、というところから、事件がするすると解けていく。
 
最後の「煙草二本分のアリバイ」も、そうは一見見えないけどかなりの良作。
推理の転回点はとあるあるある(こう書くとややこしいな)なんだけど、
そこに至るロジックの着目点が、シンプルだけど極めて巧み。
美しい手がかりって奴をまさか見られるとは思ってなかったぞ。
 
ということで、投げ捨て必死かと思った作品が、
後半大いに盛り返して、逆転の7点。
本年度第5位(現時点)にまで躍進。