盆の国
時間ループ物。
……と書いてはみたものの、本作の本質は全然そんなところには無い。
このジャンルの一つに数えるのは不適切なように思えるくらい。
展開は多少慌ただしくはなるものの、お盆の日その一日だけの
出来事として描かれても、充分成立するだろう作品だから。
なので、当初期待してた愉しめ方ではなかったものの、
作品としては充分満足できた出来映えだった。
少し不思議な話から、少し不穏な空気感が混じってきて、
和物恐怖譚になっていく。
これらがしっかりとまとまってて、納得のいく形に収束する。
全体に流れる多少乾いた哀切感も好感触。
画としての味のある雰囲気も、本書では凄くマッチしてて、
これなら上手いと感じられた。
一巻完結物の佳作の一つに数えられるのではないだろうか。