七都市物語 1~5巻(完)
「創竜伝」は期待外れだったけれども、
これは銀英伝に非常に近しい作品で、愉しく読むことが出来た。
特殊な世界設定(地軸の90度転倒により壊滅した後に建設された七都市)と、
特殊な制限事項(地上500mを越える飛行が許されないオリンポス・システム)下で、
戦略と戦術を描くのに特化した作品。
主にはリュウ・ウェイ(ヤン・ウェンリーを彷彿とさせる)の描く政治的戦略と、
各都市の知将たちによる戦術とをじっくりと描き出している。
1冊の原作(5短編)を5巻で描いてるので、粗筋感もなく、充分なボリューム。
ただ、奸計もあるけれど(特に初戦の北極海戦線)、
地上戦がメインなので、戦術がリアルで、エンタメの外連味としては
若干薄味になってはいるかな、といった印象。
しかし、これだけの世界設定を作っておいて、
原作この一巻のみというのは、勿体ない気がするなぁ。
この作品自体面白かったし、もっと展開できるフォーマットなのにな。