新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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唐人街探偵 東京MISSION(吹替版)

07/25(日) TOHOシネマズ南大沢にて鑑賞。
多国籍探偵が集結する話なので是非とも字幕版で観たかったんだけど、
近場では吹き替え版しかやってなく、アウトレットで服物色したかったのもあって南大沢で。
 

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撮影許可が下りずに、数億円かけて渋谷スクランブル交差点のセットを作ったらしい

全く知らない作品だったが、これが三作目。
でも一、二作目は日本ではDVD化もされてないみたいなので、シリーズとして初お目見えのようだ。
二作目の「唐人街探偵 NEW YORK MISSION」も年内に公開されるようで、これも観に行くかな。
 
というのも、これが意外に本格ミステリとして良く出来ている。
密室の解法が凄くまともで、おおっと思わせてくれた。
 
しかも「三つの棺」や「ユダの窓」という作品名が引き合いに出されるだけでなく、
カーの密室講義の13の密室トリック分類に当てはめて、一つ一つ検証していくシーンなども
描かれるのだから、ミステリファン(特にカーのファン)としてはたまらんわな。
 
まぁ、このカーの分類は乱歩のそれとは違って網羅されておらず、大雑把なものなんで、
作中で「これはどれにも当てはまらない14番目のトリックだ」という結論にされちゃっても
それも仕方ないかと思ってたよ。
               そう、過去形でね。
 
だって、解かれてみたら、おい、待て、これが分類にないはずないやんって、
自分の中のミステリファンが騒ぎ出すもんだから、あとで調べてみたよ。
案の定、これ、もろに「7.未だ生きている人物を死んだように見せかけ後で本当に殺害する。」やん。
ま、それはそれとして、ミステリとして面白かったから、それで充分。
 
映画としても結構スピーディで愉しめた。
長澤まさみの誘拐が解決したあたりから、中だるみ感は少しはあったけど。
日本の描き方は、やはり海外視点なので、おいおい、と思えるところも多かったけど、
こういうパラレル日本としては充分有りっちゃあ有りだよな。
 
ミステリ視点重視で書いてきたけど、基本はコメディ映画。
ただ全編笑えるかというと、肌合いの違うところもあったかなぁ。
個人的には看護婦のとことか、ちょっと笑える範囲を越えてると感じたところが幾つか。
 
でも、全般的には愉しい映画だったので乙。しかも期待以上の本格ミステリなんだからさ。