新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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AWAY-アウェイ- 1,2巻(完)

 
小松左京の「お召し」を元にした作品だけど、原作というよりは、
その設定だけを貰った別作品と考えた方がいいだろう。
 
ただ個人的にはAWAYとHOMEの両方が描かれていて、
しかも通信手段も用意されているというのが、
あまり筋のいいやり方に思えなかった。
 
これが出来るなら、ああすればいい、こうすればいい、
というのが見えてしまって、消化不良感が残ってしまう。
両方を描くなら、通信手段は一切無しにしてもどかしさを描いて欲しいし、
通信手段を用意するなら、AWAYだけを描いて、
少しずつHOMEの世界を想像させたり、疑惑を抱いたりする展開にして欲しかった。
 
最後に「世界の秘密」というのが描かれてるのも、凄く興ざめ。
いきなり全然関係の無いテーマに絡めてしまってる。
こういうテーマにするなら、もっと前提になるような状況を描いておいてよ。
しかも謎解きとするには抽象的すぎて、ようわからん難解さだし。
 
萩尾望都としては、残念ながら失敗作の部類だと思う。
 
あとまぁ自分が好きになれなかった大きな要因の一つが、
12歳設定を18歳設定に引き上げたことで、性的要素が色濃くなってるせいなんだろうなぁ。 
うぶなあたしには受け容れがたかったんですぅ。