Story for you
コロナ禍の夏休みにwebサイト「tree」に発表された62編の短い物語。
ショートショートではなく、なんてことのない短いお話。
こんな時代ゆえの苦悩が反映された、暗くへこんでしまうお話なの?
いいえ、まさか。
それとは真逆の、前向きで優しさに満ちたお話ばかり。
だから、読後感が非常に良い。
予想以上に心地良くなれる作品集だった。
好きな作品を掲載順に選んでみよう。
小前亮「顕微鏡の中の未来」
まさきとしか「ボクは犬」
今村翔吾「鬼は戦う」
矢崎在美「物語は踊る」
大沼紀子「往復書簡」
最果タヒ「愛してるさん」
天野純希「王さまと魔物」
森見登美彦「花火」
この中でベストを選んでみると、自分でも意外だけど、
「愛してるさん」になってしまうかな。
詩人ならではの(最初は「屍人ならでは」と変換されちゃったよ)
独特の言語感覚と不思議な雰囲気設定能力にやられてしまったよ。