新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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楽園とは探偵の不在なり

 
題名から云っても、天使という題材を取っても、
テッド・チャンの「地獄とは神の不在なり」にインスパイアされた
作品だろうと思っていたが、やはりそうだった。ま、そりゃそうだ。
インパクトは元ネタの方が大きいと思うけど、比べる必要は無いか。
 
「2人以上の人間を殺すと天使によって地獄に落とされる」
という特殊設定自体は非常に魅力的で、
それが推理でも活きている点を評価する声が多かったと思ったんだけど、
いざ読んでみると、さほどではなかったと思えたな。
 
一点だけ個人的には好きなタイプのバカミス着想トリックはあったんだけど
砂糖使って、天使で古井戸を埋め尽くすって奴
全体的にはミステリとしてそう巧みとは思えなかった。
 
採点は7点を付けるには躊躇して6点。
 
ところで、探偵の存在意義みたいな苦悩を語りたがる作品が
多いのはいったいなんなんだろうな。法月が元凶だろうか。
だいぶ食傷してるんだけど。点が辛いのはそのせいもあるかも。