ストーリー
作者の第三作品集。
ここからはデビュー後の雑誌掲載作品ばかり。
そのせいと言っちゃうのは作者に悪いとは思うけど、
「生きるススメ」のようには楽しめなかった。
皮肉なことに本書のタイトルでもある「ストーリー」、
一作品が長くなっただけに、そこに持ち込まざるを得なくなったそれが、
逆に作者の持ち味とあまりマッチしていないように思えた。
何気ない日常から生まれる気付きや感情は、
ショートストーリーの中ではそれだけで主役に立てるけど、
何気ない日常では長めの作品では面白みが無いし、
何気なくない作品だと、ストーリーでそれを表現しなくちゃいけなくなり、
ずっしりと重たい作品になってしまってるように思えた。
「スキエンティア」は、この「何気なくなくする」部分を
SF的着想が担えていたから、何気ない日常の気付きや感情に収束しても、
ちゃんとギャップがあって、作品全体の重さが気にならなく思えたのかなと。