生きるススメ
ネット上に公開された作品に二編の描き下ろしを加えて出版された
戸田誠二の最初の作品集。
デビュー作であるので、これがやはり作者の本質なんだろうなと
いうことが如実に感じられる作品集だった。
何気ない日常の中の気付きや心の痛みに
寄り添うように描かれた優しさこそが、作者の持ち味なのだろう。
SFやファンタジーの手法を用いながらも、
必ず日常の話に収束していくのも、やはり最初からなのだな。
冒頭の作品から、創世記のように始まり、
こういうラストページに辿り着くのが、象徴的だ。
これはいいとか、凄いとかいう作品は無いんだけど、
じわりと沁みる作品ばかり。
30作品もあるので、いつものベスト3ではなく、五作品選んでみよう。
掲載順で「掟」「雨のち星」「2009年の決断」
「黒の歩み」「ラスト・ムービー」で。