沈黙の狂詩曲
「喧騒の夜想曲」と合わせて、三年分の年間アンソロジー。
編集方針への批判に関しては、そっちの方を見て貰うとして、
二冊比較すると、圧倒的にこちらの方が良かった。
本格ミステリ色高めの作品が多かったせいかもしれない。
ベストはやっぱ自分が選ぶと、こうなっちゃうしかないよな、な
大山誠一郎「事件をめぐる三つの対話」で。
既読作だったけど、やはり本格ミステリ的着想の飛びが素敵。
第二位もやっぱり、形式的には一番オーソドックスな本格ミステリに仕上がってる
宮内悠介「ホテル・アースポート」になってしまう。
第三位も本格で。結婚指輪というアイテム一つから、興味深い謎と、
推理の応酬を盛り込んで、最後は充分に飛び幅のある真相に導いてくれる
石持浅海「銀の指輪」だな。
次点も挙げておきたい。ダブル・ミーニングの連鎖で、僥倖的に
事件を解決するユーモア・ミステリ、川崎草志「署長・田中健一の執念」で。
他の作品も読み物的には結構楽しく、編集方針批判した割には、
意外に楽しく読ませて貰ったかも。割と7点に近い方の6点で。