- 作者: 三津田信三
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2019/07/11
- メディア: 単行本
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刀城言耶シリーズの中短編集。4編が収められているが、
いずれも言耶の若き頃を描いた作品。
表題作で祖父江偲との初めての出逢いも描かれる。
とはいえ、シリーズ読者向けの性格を持った作品なので、
言耶シリーズ初心者には向いてない。
そういうお方は、「首無の如き祟るもの」を含む長編を
数冊堪能された後で、本作に向かわれた方がよろしいかと。
「妖服の如き切るもの」
ミスリードを利かされた後でのこの真相だが、ハウダニットのすっきり感は薄かった。
「巫死の如き甦るもの」
シリーズとして既視感を感じる真相。今ひとつ感心できなかった。
「獣家の如き吸うもの」
トリックの方向性は大好きなんだけど、前半の描写(急な坂道)と矛盾する。どんなビルやねん。
「魔偶の如き齎すもの」
これは傑作。途中の推理展開の一つ一つが、それぞれ「おっ」と思わされて、
とにかくいちいち面白い。それでいて更に驚かされるこの真相なんだもの。
小憎らしいお人よのぉ~。
というわけでこれは期待外れかなぁと思っていたら、
最後の表題作で大きく逆転されて、採点は7点確保。