新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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イソップの思うつぼ

08/18(日) イオンシネマ新百合ヶ丘にて鑑賞。
 
『カメ止め』の上田慎一郎監督を中心とした3人が共同監督・脚本を務めた作品。
正統な次回作としては、10/18公開予定の「スペシャルアクターズ」になるようだが、
本作も「再び予測不能な物語を紡ぎだしたオリジナル作品」ということだったので、
とりあえず観に行ってみることにした次第。
前知識あまり入れない程度にググった感じだと、評判良くなさそうだったんだけど。
 
で、結果、単独作品として見れば、そんなに悪くもないとは思ったんだけど、
『カメ止め』の印象や期待感を引きずったまま観るのはお薦めできない作品だったな。
 
突っ込みどころは満載だけど、自分が大きく気になったポイントは三点。
 
まず一点目。伏線が無さ過ぎる。
やはり本作も表を描いてから、反転して裏を描くという作品ではあるんだけど、
”大量の伏線とその怒濤の回収”という、あの強烈な快感はまず得られまい。
というか、いくつか細かい点はあったはあったんだけど、
全般的には、伏線なんてあったっけ?、と感じてしまうような作品だった。
 
二点目。都合良過ぎる。
さすがにこれは誰が観ても無理があり過ぎると感じるだろう。
こんな何でもかんでも上手く行くはずないだろと、
おそらく観客の99%は感じるだろうと思う。
 
三点目。イヌが無意味。
これは他の二点と比べれば、キズとは言えないものだろうけど。
映画的には、ウサギとカメとイヌの三つ巴ってつもりみたいだけど、
イヌはただただ傍観者にしか思えない。
これなら最初っからイソップ通りに、ウサギとカメだけで良かったんじゃないかと、
わざわざイヌを付け足した意味がわからなかった。
 
ちなみに朝8:30からの上映だったからとはいえ、公開三日目の日曜日で、
自分を含めて観客が全部で六名って、黒歴史扱いされる作品になっちゃうんだろうか。
ただ、こういう作品を作ろうという意気込みは好きなので、
スペシャルアクターズ」も観に行こうと思ってる。
(「こういう作品」ではないのかもしれないけど、それはそれで)