新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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迷彩都市 1~2巻(完)

 
ミステリ作家らしい”余計な過剰さ”が出過ぎた作品だと思う。
 
牌を使って、連続殺人であることをアピールするとこまではわかるが、
その牌と地名をリンクさせる必然性があまりにも薄すぎる。
もう明らかにミステリ作家として、こんな趣向をやりたいだけ。
当然クリスティのABCになぞっての趣向だからね。
 
一応それが最後の事件を成立させるための要件としたかったんだろうが、
そのせいでギリギリまで追い込まれた場面もあったし、
最後の事件でも、結局他の手段に頼ってるしで、つまるところ意味なし。
(最初っからこれだけじゃ確実性が無いことは明白でしょ)
 
あと、もう、馬鹿みたいに殺しすぎ。
殺しの天才ですかっつうの。現実ならとっくに捕まってるわ。
 
そもそも趣向を完成させる必要なんて、全然無いでしょ。
完成させたがってるのは、世の中でただ一人、我孫子武丸だけ。
 
漫画だからっていくらでも荒唐無稽にしていいって話じゃないと思う。
 
ミステリ作家のエゴを都合良く吐き出せる場として使われたような気すらして
(本当はそうじゃないとは思うものの)、なんか個人的には気持ち悪い読後感が残ってしまった。