- 作者: ピーター・ワッツ,緒賀岳志,高島雄哉,嶋田洋一
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2019/03/20
- メディア: 文庫
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う~ん、ちょっと難しかった。
読み終わっても、自分はこう解釈したんだけど、
それが正しく読み取れてるのか、自信が持てなくなるような作品ばかり。
陰謀論的な裏の解釈が示されて、明確に否定されないまま終わるような
作品もあったりして、ますますあやふやで確信なんて出来なくなっちゃう。
きっちりと白黒付ける明快な論理で謎解きが示される、
そんな本格ミステリをこよなく愛する自分には、不向きな作家だったかも。
そんな中でのベストは、悩まず巻末の二作品「巨星」「島」だな。
アイデア自体を雰囲気のある作品には仕上げてはあるものの、
物語性自体はそんなに高くはない本書の収録作の中では、
群を抜いて、読み物としての面白さを持っている。
それでいてなおかつ、ハードSFとしての完成度の高さも
群を抜いているもんだから、圧倒的にこの二作が傑出している印象。
どちらかをベストに選ぶとしたら、これも迷わず「島」の方。
極端すぎるほどの圧倒的な知的生命体の造形、
永遠に等しい時間軸をベースにした、親子やAIなどの関連性の葛藤、
これらいくつもの要素が濃密に描かれた秀作。
第三位は悩むところだけど、人類という種が下等なものとして描かれる様(さま)に
卑屈な愉しみを覚えることが出来る「遊星からの物体Xの回想」かなぁ。