カササギ殺人事件(上)(下)

カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)

　
宮部先生もそうだったんだけど、実は私もラインナップ説明会の時点で、
下巻の謎解きの直前にさしかかってて、謎解きへのわくわく感を共感できてた次第。
　
いやあ、さすが、昨年度のダントツの海外ベスト１作品。
最高に面白い本格ミステリだった。
これ読んじゃったら、もうベスト１に挙げるしかないだろう作品。
　
まず、この上下巻の構成。
ここまで完璧に意味のある構成になっているのは、他に例を見ないほど。
　
上巻の最後の一行の引きから、下巻の冒頭で度肝を抜かされない読者なんているのかな。
たとえ予想はできてても、来た来た来た来たぁ～と、心地良くなれること請け合い。
　
第二にクリスティのオマージュとしての完璧さ。
作中作のクリスティらしさと云ったら、もう。
「これこれ」と懐かしさにすら浸れてしまう。
それだけではなく、外枠すらクリスティのエピソードを踏まえてて、
メタミステリ的にもクリスティへのオマージュにもなってるという、手の込みよう。
　
そして第三に、本格ミステリとして実に綺麗に構築されていること。
ここがちゃんとしているからこそ、文句つけようのない素晴らしい仕上がりに思えるのだ。
一つのフーダニットは普通だけど、意外なホワイダニットに驚かされる。
作中作のフーダニットは、これだけでも素晴らしい出来映え。
実に多くの伏線に、巧妙なダブルミーニングが、納得するしかない一点に美しく収束する。
　
こりゃたしかに良かったわ。９点に限りなく近い８点だな。