- 作者: 阿津川辰海
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2018/10/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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現実とはズラした異世界ならではのロジックを活かして、
結構のしっかりとした本格ミステリを構築できる作者。
そのうち誰もが認める傑作を書き上げてくれそうな期待感を持てる。
ただロジックにこだわるあまり、余詰めも全部潰しておかなくちゃとか、
この可能性はまだ完全には否定できないから取りあえず置いといてとか、
なんか解決編のところが、ごちゃあ~~~っとしてて、
スマートにすっきり爽快感を与えてくれないのが難点。
(ただラストシーンはすごく爽快で良かったので、そこは強調しとこっと)
せっかくカッコイイ着想とかがばしっと決まったりするのに
(死を目前にした人物に予知をさせれば高確率で死の光景を予知させられるとかね)
その後がごちゃごちゃがちゃちゃするから、効果が消えてしまう。
また本作に限っての話でいえば、最初に出た時点で言葉の意味がわかったりして、
全体的にもどかしさをずっと感じるような作品だった。
それだけでなく、そのもどかしさの最大の要因としては、
根本的に致命的な矛盾がずっとあると思ってて、結局それが解決されなかったこと。
自分の誤読なのかもしれないけど、どうしても理解出来なかった。
(赤司は自分が殺される可能性を回避するための手段が簡単に打てたはず。
家具変えさせるとか、壁紙変えるとか、その日は旅行に出かけるとか、
大星詠師なんだから、多少のわがままは簡単に通ったはず。
回避するために赤ん坊に熱湯かけようかしたくらいの人なんだよ。
ありえないっしょ、としか思えなかった。)
そんなわけなので、本作の採点は6点。でも、次作も多分読む。