- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2017/02/24
- メディア: 単行本
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という人間にとってはなんの問題も無い作品。
ただ更に貪欲に小説としての愉しみも存分に味わいたい、
なおかつ作品としての完結感をもって本を閉じたいという場合にはどうだろうか。
たしかに作品的には、現実からの少しのずらしから、ファンタジー感を醸し出していく、
独特の村上春樹的世界が展開されている。
いつもの雰囲気と言ってしまってもいいのかもしれない。
しかし今回の場合はちょっとだけミステリっぽい味付けが感じられる。
それっぽいタイトル自体は実はミステリ的要素はほとんど無かったんだけど、
中身としては謎めいた設定や展開が行われてて、なんとなくそういう匂いがする。
それだけに単純にファンタジーで片付けられては物足りなくて、
もっともっと完結感を望んでしまうのだ。
そうなるとやはりなんか物足りない。
これだけじゃ解決できてない感をありありと感じてしまう。
「1Q84」の時のように、何年かして第3部を出すつもりじゃないよなぁ。
個人的に気になったのはもう一点。
あの騎士団長の犠牲、主人公の試練の必要性はどこにあったんだろうと、
明かされた真相を聞かされた(読者としては、読まされた、だけど)ときに思ったこと。
ひょっとしたら状況は量子論的に揺らいでいる状態であって、
あの冒険があったことで、現実的に無難なところに落ち着いたってことなんだろうか。
シュレディンガーの猫が「生きていた」ことに決定されたというようなこと?