- 作者: 日本推理作家協会
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/05/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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たとえば宮部みゆき「虹」なんかは広義の意味でも
”ミステリー”には分類出来ないと思うんだけども、
映画一本見終わったような気にさせてくれる作品である。
そんな風に、ドラマ性の高い作品が、珍しいくらいみっちり揃っていた。
ミステリファン向けの選集になってるのが勿体ないくらい、
一般読者にアピールできるアンソロジーになってるんじゃないだろうか。
協会賞受賞作である降田天「偽りの春」は、
心理サスペンスの描写のドキドキで読ませる作品。
一つ大きな捻りもあるんだけど。
個人的なベストは櫻田智也「火事と標本」。
本格ミステリに仕立てて欲しかったくらいの秀逸なトリック。
いつものベスト3選びだと残り二作なんだけど、
どうしても落としたくない作品が揃ってるので、同率で三作品を。
芦沢央「ただ、運が悪かっただけ」
心理が若干複雑すぎる嫌いはあるが、この人の短編はいつも良く出来てるなぁ。
柴田よしき「理由(わけ)」
堂々とした題名で、「隠す」というテーマを非常に上手く処理した作品。
里見蘭「彼女の流儀で」
意外に本格みたいなアイデアだった。これで振られたら可哀相。
例年以上に、特別なくらい読み物としてのレベルが高く感じられたので、
今年はベスト本格ミステリよりこちらの勝ちだな。勿論、採点は7点。
あちらが「七人の名探偵」から一作も録らなかったのも大きな敗因だと思うけどね。