新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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十人の小さなインディアン

そして誰もいなくなった」の戯曲版「十人の小さなインディアン」と、
本邦初訳の戯曲版「死との約束」「ゼロ時間へ」が収録された戯曲集。
ボーナストラックとして、単行本未収録の短編「ポワロとレガッタの謎」も収録。
 
「十人の小さなインディアン」は原作とは違う結末。
ただルネ・クレールの映画版などはこの戯曲版をベースにしているので、
結末に関しての意外性は薄いけれど。
 
「死との約束」は原作とは完全に別物と言った方がいいほど、
大きく脚色された作品。登場人物やシチュエーションは原作を
踏まえながらも、犯人も動機も大きく違っている。
 
「ゼロ時間へ」は原作のエッセンスを(とはいえよく覚えてはいないのだが)
このシンプルさの中で充分表現できているのではないだろうか。
 
短編も不可能状況の中での盗難という謎を扱っていて、
短いながらも面白味の高かった作品だと思う。
 
「死との約束」は原作を読んだかどうかさえ覚えてないし、
「ゼロ時間へ」もほぼ記憶飛んでたので、比較的新鮮に楽しめた。
とはいえ、珍しさを大きく加味して、ようやく8点かなぁ(実質7点)。
 
ちなみに海外ミステリ百選でクリスティの作品は
8作品選んでるけれど、そのうち2作が戯曲なんだよなぁ。
戯曲の翻訳はことごとく読んでると思うけど、個人的ベストは「招かれざる客」だなぁ。