- 作者: 本格ミステリ作家クラブ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/06/08
- メディア: 新書
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実際に若いかどうかは知らないが、新しく出てきた作家ばかり。
こういう場合、何故か大抵そうなんだけど、こじんまりと
まとまった感触に全体的になってしまうのが不思議。
遊んだり暴れたりする余裕が無いのか、
新本格の洗礼を特に浴びずに、全く影響下にないせいなのか。
ライトノベルの台頭等で本格の世界も軽みが主流になってしまっているということなのか。
ただ、質が低いとかそういうことではなくて、とんがった本格ではなくても、
みなそれぞれに読ませどころのある、魅力的な作品ばかりだったと思う。
ベストは葉真中顕「交換日記」で。
非常にトリッキーな作品で、真相提示に当惑と驚きを同時に味わってしまったので。
第2位は青崎有吾「早朝始発の殺風景」で。
いつものロジックの冴えではないが、最後の一行のフィニッシング・ストロークにやられた。
第3位は似鳥鶏「鼠でも天才でもなく」で。一番本格してたと思うので。
井上真偽「言の葉(コトノハ)の子ら」のアレとか、
解明の手順が違うと思ったけど天野暁月「何かが足りない方程式」の着想とかも
良かったと思った部分。
倉狩聡「もしかあんにゃのカブトエビ」は作品としては読ませてくれるけど、
本格の優秀作を収める選集としてはふさわしくないように思えた。
小粒揃いだけど、まとまりは良かったので、ギリギリ採点は7点。