新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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スター・ウォーズ/最後のジェダイ

12/26(火) TOHOシネマズ海老名にて鑑賞。
(以下はネタバレを示唆する内容を含んでいますので、未見の方はご容赦を)
 
前作の感想で私が一番の不満点として挙げたのが、
「新しいスター・ウォーズ感の希薄さ」だった。あまりにも寄せに行き過ぎ。
ルーカスの掌の上だけで完結してて、一歩も踏み出してない印象。
 
それと比較すると、今回は真逆に近いかもしれない。
 
本作のテーマとも思えるのは『世代交代』。
旧世代からの脱却。
サブタイトルからしていかにもそうだし、
本作をもって旧シリーズの人間キャラがついに全て姿を消すことになる。
(レイアだけは最後まで出ているが、中の人の現実の死をもって次回作では
 出演がない(CGでも)ことが明言されている)
レンが例のマスクを破壊するシーンが、一番これを象徴しているのだろう。
 
ストーリーだけというより、作劇全体においてそう。
 
予定調和をことごとく裏切るような展開。
観客の爽快感を奪ってまで、とことん裏切り続ける徹底ぶり。
 
作劇としての脱却が頂点に達したのが、レイの出自が語られたシーン。
レイ自身のアイデンティティというより、
スター・ウォーズ自体のアイデンティティを揺さぶるような衝撃だった。
(前回の感想の「いとこ」という表現は一旦引っ込めます。
 すっかりレイはルークの娘に違いないと思い込んでた。
 三部作の最終作でまたひっくり返しがありそうには思えるけど)
 
収まりすぎの前作に比べると、賛否両論はあるだろうけど、
本作くらいぶっ壊してくれた方が、まだむしろ気持ち良い。
 
ただ、じゃあ、これがスター・ウォーズ・サーガとして
正統と認められるかというと、大いに疑問を感じられてしまう。
結局おぼっちゃまレンくんがボスじゃ、敵側の矮小感が半端なさ過ぎ。
三部作最終作で痛快なカタルシスが覚えられるとは到底思えない。
 
とにかくいくら壊そうが、7のスタートの失敗から
立ち直ることは出来ないまま、という運命が明らかに見えてそうだ。