06/01(木)の映画の日、東宝シネマズ海老名の18:50の回で鑑賞。
高校時代からの長きに渡ってSF短編集のマイ・オールタイムベストだった
ハーラン・エリスン「世界の中心で愛を叫んだけもの」をようやく塗り替えたのが、
テッド・チャン「あなたの人生の物語』だった。
収録作品の全てが超ど級の傑作であるという、希有な短編集。
その表題作を映画化した作品なのだから、これは見逃せない。
とはいえ、内容自体はすっかり忘れきっていたので、
そのまま忘れたまま鑑賞し、その後読み返してみた。
これは正解だった。
結果的に、原作と映画は非常に異なっていて、別物ではあるのだけれど、
本質の部分はうまく活かされている。
叙述形式の意味合いが最後にわかるのだけれど、
これは忘れていたおかげで、純粋に驚きと共に味わうことが出来た。
とにかく映画はわかりやすさに特化されている。
原作のほとんどを占める言語学と物理学の考察は、ほぼカットされているが、
その分ストーリーとして補完しまくっているような感じ。
テッド・チャンの作品は、あえて結構を付けないようなものも多いのだが、
原作では謎のまま終わるところも、全て解釈を用意して、
綺麗に作品として完結されたものになっている。
そのやり口としては、充分に満足できる出来栄えなのではないだろうか。
感動も味わえる秀作。
これなら「地獄とは神の不在なり」も映画化してくれないかな。
美術的センスの皆無の自分でさえ、圧倒的なビジュアルが自分の脳内に
展開される作品。現実化されたビジュアルを是非とも見てみたいものだ。