新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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アンデッドガール・マーダーファルス 1

現在の若手ミステリ作家の中で、ダントツの実力を発揮してるのが
この青崎有吾だろう。
 
ロジックを武器に戦える本格ど真ん中の正統派なんて、非常に数少ないだけに、
日本のミステリ界にとって、既にとっても貴重な存在になってると思う。
 
本作はこれまでとは違う味付けの新シリーズ。
妖(あやかし)の者達が共存する世界観を舞台にした、不思議な探偵譚。
名探偵の造型もそうだし、ホラー・テイストな作品。しかもアクション付き。
 
本作のテーマなんて、もろに古典ホラー。
吸血鬼にフランケンシュタインなんだもの。
それを、敵(かたき)を求めて旅をする、という一昔前のスタイルで描く。
 
ってなもんだから、青崎節が薄まるかというと、そうでもなく、
疑問点を数え上げ、そこから犯人の条件を洗い出し、消去法で絞り込む、
というような論理の手順に手抜きはない。
 
それも地味〜な作業ばかりじゃなくて(それじゃ案外つまんないからね〕、
ちゃんと発想や論理の飛ばし〔アクロバット性〕で、
ビックリもさせてくれる。心得てるよねぇ。
 
なので、本作もやっぱり7点。ベスト表も修正。
昨年度のベスト10に全て入ってくるんだもんなぁ。