新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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殺意の隘路

殺意の隘路 最新ベスト・ミステリー

殺意の隘路 最新ベスト・ミステリー

講談社版の「ザ・ベストミステリーズ」は年間アンソロジーだが、
この光文社版は三年間毎の二分冊形式。
 
なんかそう言うと、吟味厳選された作品ばかりになりそうな
感じを受けてしまうけど、なかなか期待には応えてくれないんだよなぁ。
 
講談社版の年間ベストと違って、選者の好みが如実に表れてるような気がした。
本書に選ばれてる作品って、広義のミステリというか、
中間小説的な味わいすらあるような作品が多かったからなぁ。
 
たしかに謎と解決はあることはあるんだけど、
赤川次郎有栖川有栖伊坂幸太郎石持浅海
乾ルカ恩田陸今野敏あたりの作品って、
純粋にミステリーと呼ぶには躊躇しそうな作品ばかり。
これだけの数が揃うと、そういう選者の好みだろうと確信しちゃう。
 
というわけで、アンソロジーとしては自分の好みとは別物。
採点は6点。
 
しかも、前回は「驚愕遊園地」「奇想博物館」という魅力的なタイトルだったのに、
今回は「殺意の隘路」「悪意の迷路」と、とっても地味。
やっぱ明らかに担当が変わってる雰囲気が濃厚。
 
ベストとしては、本書の中でもちゃんと本格してる
青崎有吾「もう一色選べる丼」だな。
本格だし、語り口がなかなか面白味のあった
初野晴「理由ありの旧校舎――学園密室?――」を第二位に。
三位は北村薫「幻の追伸」で。