新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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11 (バーズコミックス スピカコレクション)

11 (バーズコミックス スピカコレクション)

これも「あれがいい これがいい」同様、それぞれの短編毎に
全く違う人物の視点から描かれる連作集だった。
 
ただ「あれこれ」は割と直接的に主人公達を描いていて、
全体の構成としては長編に近い、割と普通の作品という印象。
 
本作はもっと巧みな構成になっている。
 
全然別の人物、別の視点から、比較的間接的に描き出そうとしている。
 
「あれこれ」は直接的・直線的(一次元的)であるが、
本作は間接的・空間的(二次元的)な作品であるように思えたのだ。
 
周りを描くことで、中身を浮かび上がらせるようにしている印象。
未読作品だけど、東野圭吾白夜行」と似たような趣向なのではないかな。
 
そういうわけで、個人的な評価はこちらの方がはるかに上。
 
予定調和ではない、ラストのぶっとび感も何とも言えない味わいだし。
 
たしかに独特のテイストが感じられる良作だと思う。
死んだ目が厭だったり、共感しにくい登場人物達という
三作品通じての共通の感触は同じなんだけどね。