新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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杏奈は春待岬に

杏奈は春待岬に

杏奈は春待岬に

また新たなタイムトラベル・ロマンスの形。
あやふやに誤魔化されてて、上手く説明が付けられているわけではないので、
新たなフォーマットとは言えないけれど。
 
しかし、もうカジシンがやらなきゃ誰がやるって感じで、
完全にこの路線の唯一無二の第一人者ってところだな。
誰も勝てないわな。
七月隆文みたいな下々は控えおろうってね。
 
ところで「そして“ぼく”の選択を、どう思いますか?」なんて
帯で煽るから、もっと鬼畜な展開を予想してた。
自分の後を引き継ぐ者を作るだけの目的で梓と結婚し、
息子が産まれるまで子作りをする、とね。
多少はオブラートに包んだ描き方にはなるだろうけど、
大筋この流れで多分間違いはあるまいと。
そんな私は”ひとでなし”だったんでしょうか?
 
“切なさ”の種類がいつもとは違う感触の作品なので、
読後感は格別とは言えないし、も少し理屈付けてくれよとは思うけど、
カジシンのこのジャンル小説が読めただけで、まぁ良しというところかな。