新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

本格ミステリ書評サイト「幻影の書庫」の旧管理人のブログです。カテゴリー欄の全レビュー索引より、書評、映画評、漫画評、その他評の全一覧リストを見ることが出来ます。同じくカテゴリー欄の年間順位表より各年度の新刊ミステリの個人的ランキングを確認出来ます。

赤い博物館

赤い博物館

赤い博物館

凄ェ、凄ェよ、やっぱ。
大山誠一郎、凄すぎる!!!!!
 
この人の才能は頭抜けている。
現代の日本ミステリ界では、麻耶雄嵩とこの人が突出してると思うけど、
いざ犯人当てという点に限っては、明らかに日本最高。
薔薇荘や達也や密室シリーズの頃の鮎川哲也と並ぶ、
いや、あるいは歴代最高と称しても構わないかもしれない。
 
「本格警察小説」なんて見当違いの惹句に騙されてはいけない。
警察小説という言葉に惹かれてしまった人とか、
推理小説とか警察小説と謳う以上、”小説”として……」
などと語りたくなるような人などお呼びじゃない。
 
本書は安楽椅子探偵物のド本格以外の何ものでもない。
 
その意味においては、五つの短編、そのいずれもが傑作レベル。
 
真の構図が明らかにされたときの驚きが、いずれも超弩級
どういう着想力を持っているのだろう。奇跡の人だ。
 
麻耶雄嵩のように、既存の枠を切り開いて、
新しい世界を創造していくタイプではないけれど、
既存の枠の中で考えられるMaxを常に提供してくれる。
 
文句なしに昨年の年間ベスト。
9点付けようかとしばし悩むほどの高レベルの8点。