ネパール王宮事件に題材を取った作品。
その事件前後のネパールが舞台。
また主人公は「さよなら妖精」の登場人物らしいのだが、
11年前に読んだ作品のことなど、覚えてるはずもない。
何か関連性に面白味があるのかもしれないが、
たとえあったとしても完璧にスルーせざるを得ないよなぁ。
そんなわけで完全に単独作品として読むしかなかった。
題材が題材なだけに、社会派的な要素も色濃く感じられる作品ではあるが、
やはりそれでも米澤穂信らしい作品と言えるのかもしれない。
これがどういう作品であるかわかるのは、ほぼ最後の最後である。
(以下はどういうキモがあるかを示すことになるので、
予断を入れたくない人のために、隠しておくことにします)
一般にも高く評価された「満願」だが、
表題作のみならず、中心となっていたのはWHYの謎だった。
考えてみると、この作品に限らず、WHYに関しての氏のこだわりは
かなり強いものであるように思う。
WHYをファイナルストロークのように使用する作品も多い。
デビュー作だって、「氷菓」というタイトルのWHYを追い求める
作品ではなかったか。
「インシテミル」というような特殊な作品でさえ、WHYが最重要な
ポジションを占めていたりする。
そしてまた本作もそういう作品。
しかも「満願」のように、考え落ちにも程があるようなWHY。
ただ、ああ、でも、これはあり得るな、とは個人的には思えなかった。
自分を説得させてはくれなかったので、採点は6点。