新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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ピエロがお前を嘲笑う

水曜日に新宿武蔵野館で鑑賞した作品が、ドイツ映画のコレ
東京/神奈川では上映館が3館しか無く、中でも一日上映してるのはここだけ。
大手の映画館は水曜日は女性のみが対象だけど、ここは男女とも1,000円。
 
SRの会のMLで紹介されてて、検索したら、こんな煽りがあったんだもの。
ちょっと長いけど、全文紹介。
『マインドファック・ムービー』なんて言い方を初めて知ったので。

【マインドファック・ムービー】とは―?
 
話が幾重にも入り組んでいて、根底から覆すようなオチ(どんでん返し)が用意されており、無意識に自由自在に操られ、ラストには“やられた!”と膝を叩くようなトリック満載の映画を、欧米では<マインドファック・ムービー>という。代表作として『ユージュアル・サスペクツ』『シックス・センス』『ファイト・クラブ』『インセプション』『メメント』『バニラ・スカイ』『トゥルーマン・ショー』…などがある。
 
本作はあえて、最初からネタバレがある前提の<マインドファック・ムービー>の決定版という、それ自体がネタバレになる宣伝、打ち出し方をしてきた。なぜって? 本作が、縦横無尽に張り巡らされたトリックに気持ち良くダマされる、オモシロさを保障する作品だからです。

心(精神)を強引にファックされて、アヘアへ、ああ、それが快感〜、
なミステリ人種のM気質を表現してるので、まぁ言葉としてはありか。
 
でもって、本作もマインドファックされる感覚を、たしかに味わえる。
ここに挙がった作品達のように、映画全体をひっくり返してしまうような、
大きな驚きではないけれど、しっかりと騙される快感。
これらの先駆的作品を、巧みに利用してたりもしててね。
 
とある登場人物が「はっ」と気付くのと同時に、
こちらも「はっ」と瞬間的に理解出来るというのも、
騙しの質として洗練されてると思う。
後でじっくり考えて、ようやく全貌が理解出来るという難解な作品も嫌いではないけど、
やっぱ、こういう”瞬時にわかる”作品の方が、鑑賞後感が爽やかで良い。
 
大胆でいて、それでいて実にさりげない伏線の心地良さも抜群。
 
そこだけを強調しすぎたが、全編を通してのストーリーもなかなか楽しい。
ハッカー達が主人公なので、悪ふざけに過ぎないところから、
段々とエスカレートしていくハッキングのシーンがメインとなる。
下手するとPC画面の地味な演出になりかねないところを、
現実として自身の身体でやるべきところを中心に据えたり、
ネットのやりとりなんかは上手く擬似映像化したりして、飽きさせない。
 
ラブ・ストーリーの描き方はぎこちなくてイマイチだったけど。
女優さんもすっごい不細工だし。
ハリウッドリメイクも既に決まってるそうだけど、
メインはともかく、少なくともこの辺だけは改善されそうだな。