このポプラ社の装丁が懐かしくも嬉しい。
やはり自分のミステリ人生はこのシリーズから始まったんだものなぁ。
今だに覚えている「地獄の仮面」の衝撃。
冒頭の毒薬での決闘シーンのドキドキ。
謎とサスペンス。そして犯人の意外性(当然その後の観点だと、最初に疑う
極めてオーソドックスなパターンなんだけど、純真無垢な少年にとっては……)
そこからは学校図書館中の少年探偵団ものを読み漁って、ルパンに流れて、
ホームズも読んで、「生者と死者と(靴に棲む老婆)」のジュブナイル版である
「十四のピストルのなぞ」(同時収録の「エジプト十字架の謎」より面白かった)から
クイーンを知り、その流れでクリスティを知り、「ABC殺人事件」で文庫本デビュー
して、その次に「アクロイド殺害事件」を読んでしまったりしたもんだから、
もう自分の本格ミステリ人生は順調な軌道に乗ってしまったんだよなぁ。
……と、どうしても昔を振り返っちゃうよなぁ、のコーナーでした。
おそらく、この作者達も小さい頃に似たような洗礼を受けているに違いない。
各々、独自の視点からの愛のある描き方に共感を覚える。
作品としてなんか凄いというものは無かったけど、
バラエティ感もあって、なんだか心嬉しい作品集ではあった。
元々の少年探偵団物同様(大人版作品のリライトを除いては)
ミステリというよりは雰囲気を愉しむ作品なので、採点は6点だけど。