- 作者: 加納朋子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/10/14
- メディア: 単行本
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ネット巡回ほぼしなくなったから、すっかり新刊の情報に疎くなってしまったな。
大病の後の刊行ということがよくわかる作品集で、
全編病気かもしくは先天的な症状がモチーフになっている。
でも、全ての作品に於いて、暗く落ち込む方向ではなく、
希望に向かった光景が拡がるラストシーンになっている。
なので、いずれも読後感が心地良い。
加納様の場合、大抵そうではあるけれど。
「驚き」の感覚も、良い具合に効いている。
いずれの作品も、「えっ、そうだったの?!」という、
優しい驚きを味合わせてくれるのだもの。
ベストは「この出口の無い、閉ざされた部屋で」。
一瞬で舞台装置をがらりと変えてみせる驚きから、
あんな手紙に持ってこられては、もううるうるしするしかないじゃない。
次点は「平穏で平凡で、幸運な人生」。
本ミスに投票するのはさすがに躊躇するけど、採点は7点。