新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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手塚治虫COVER[エロス篇]

手塚治虫COVER エロス篇 (徳間デュアル文庫)

手塚治虫COVER エロス篇 (徳間デュアル文庫)

手塚治虫作品を他の作家陣がカバーしたもの。
「エロス篇」となっているが「タナトス篇」と対になっているだけの話で、
別にエロティックな作品が収録されているわけではない。
(個人的には「ちぇっ、やられたぜ」と思っちゃったけど)
 
収録作品の紹介とそれぞれの感想を書いていこう。
 
鉄腕アトム」 梶尾真治村田蓮爾
シリーズ中の長めの一話として充分成立しそうな正統派のパスティーシュ
さすがカジシンといったところか。お見事な出来映え。
 
「W3」 太田忠司あさりよしとお
そもそもこういう設定があったのか、ということを知らなかった。
星新一がベースになってたことも。それでボッコだったのか。
 
「ビッグX」 牧野修・菅原芳人
これは原典の知識があまりにもなさ過ぎて、ちっとも楽しめなかった。
雰囲気もあまりにも暗すぎるし。もっと救いが欲しかった。
 
リボンの騎士」 森奈津子多田由美
原典全編を短編一つで再構成仕切ってしまうという、本書唯一のアプローチ。
作者と作品のマッチ感も抜群で、これが本書のベストかも。
 
「不思議なメルモ」 大塚英志羽海野チカ
ジェニーの肖像」モチーフだが、工夫は少ないかな。動機の納得感が薄すぎ。
主人公がロリコンだと誤解させるエピソードを一つ作っときゃいいだけだろうに。
 
ブラック・ジャック」 井上雅彦小島文美
雰囲気と作品の組み立て方が抜群で、森・カジシン・本作でベスト3としたい。
最初のキリコの事件の扱いなど整合性はきちんと取れてない気はするけれど。
 
鳥人体系」 唐沢なをき
手塚治虫色が全くなさ過ぎ。これはただ題名を借りただけの唐沢作品のようだ。
ただこれもオチを含め、原典を読んでない私が関連性を理解できていないだけかも。