新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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死神の浮力

死神の浮力

死神の浮力

あの千葉が長編で還ってきた。
 
短編集なら歓迎だけど、長編は辛いかなぁと懸念していたが、
充分には(決して充分以上ではないけれど)楽しめたかと思う。
 
これはキャラ小説だな。
 
今までも作品のツマとして、死神の特性は色々書かれてきたけれど、
本作では思いっきりそこに乗っかってみたという印象。
 
危機が訪れる度に、死神の新たな特性が一つ発揮されて、
その危機を乗り越えていく。
 
昔のヒーロー物は新たな必殺技の開発でいちいち盛り上がっていたが、
そういうのが延々と続く長編だと言っていいだろう。
(嘘です、言っちゃいけません。調子に乗りました、ごめんなさい)
 
クライマックスに向けて盛り上がっていく。
キャラ小説としては、やっぱここまでやんなきゃだわってとこまでね。
 
ラストはだいぶ漫画チックになっちまった感はあるけれど、
悪役造型もだいぶ高めちゃったんで、それなりの応報が必要だしってことで納得。
 
伊坂小説として及第点以上の作品ではあると思うので、採点は7点。