乱歩の幻影

乱歩の幻影 (ちくま文庫)

乱歩作品のパスティーシュや、乱歩自身が作品に登場する作品だけのアンソロジー。
　
セミドキュメンタリー風の作品も時折混じっていて、
どこまでが現実を反映しているのか、何か元ネタがあるのか、
完全な創作なのか、なんだかとっても気になってしまう。
乱歩自身が生きる伝説（死んでるけど）みたいな人物だからなぁ。
　
「江戸川乱歩に愛をこめて」よりもバラエティ感としては薄いが、
個人的にはこちらの方が好みだ。
より”人”としての乱歩像が浮かんでくる気がする。
　
あちらは近代の作者がメインだっただけに、下から見上げた乱歩像。
結局読者の目線も下から目線であるわけで、ある意味新鮮味が少ないとも言える。
一方こちらは比較的同じ目線に立った乱歩像が捉えられているんじゃないかと思う。
だからリアルだし、新しい見方を教えてくれてるようにも思う。
　
島田荘司「乱歩の幻影」に、山田風太郎「伊賀の散歩者」が二大傑作かな。
中島河太郎「伝記小説 江戸川乱歩」は、乱歩の少年時代の少年愛を赤裸々に
書いてあるが、これはきっと聞き書きでリアルな話なんだろうなぁ。
このショッキングさを買って、以上でベスト３。
ショッキングさという意味では、蘭光生（間羊太郎もしくは式貴士の方が通りが良いか）
「乱歩を読みすぎた男」も負けないか。
完全にポルノなんだもの。通勤電車で読むのが恥ずかしかったぞ。