新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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リバーサイド・チルドレン

鮮烈なデビュー短編集「叫びと祈り」において、
強烈なホワイダニットの意外性を味あわせてくれたこの作者。
 
上梓されるまで意外に長く時間がかかってしまった初長編だが、
その持ち味は再び味わうことが出来た。
 
ただ、この小説の読み応えはストリート・チルドレンという
現実が描かれているという部分に重きがあると思う。
そこに陥穽のようにぽっかりと穴の空いた非現実のホワイダニット
やはり、リアルにはなりきれない観念だと思えてしまうのだ。
 
しっかりと張り巡らされた伏線までもが、
出来すぎというような意味で、逆に非現実感を煽る効果も生んでしまってる。
 
この人の作品は、基本はファンタジーだと思うのだ。
リアルを追求するような作風に持ち込むのは、合わないのではないかな。
 
少年達を描いているのに、彼らの未来が見えない結末も
個人的には非常に寂しい思いに囚われた。
子供を描いた物語には、希望を期待してしまうのは、甘すぎる感傷なのか?