新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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ふたりは屋根裏部屋で

数々の児童文学賞を受賞してきた作家・さとうまきこが贈る、
「時空を越えた」タイムトラベル・ミステリーが帰ってきた!
 
古い洋館に引っ越してきた小学生の主人公エリは、入ってはいけないと
言われた“屋根裏部屋”の扉を開けたことから、時空を越え「過去からきた
少女」に出会う。過去と現在、ふたりの少女の思春期の葛藤や迷いを、繊細
で透明感ある筆致で描く美しい物語。

復刊ドットコムでの惹句に惹かれて、旧版を借りてみたものの、う〜む。
 
何も起こらない話(人死には出るけれど)。
タイムトラベルならではのところなんか何もない。
少女が二人遊んでただけ。ただの近所の子だって成立しちゃう。
心理の葛藤も全然描かれてるようには思えなかったなぁ。
 
表面の出来事だけが綴られている。
その裏にはいろんな話が潜んでそうなんだけど。
ミステリの問題編だけを読まされたようなもどかしさ。
最後の手紙というまた全然別の不可思議さを持ち込むのも、バランス悪い。
 
ミステリや時間物のエッセンスを期待すると、肩透かしを喰う作品だと思う。