まずはやはりこの叙述形式の斬新さに心惹かれる。
章ごとに入れ替わりながら、呼応しているようでいて、
同じ出来事を表面、裏面から描き出していくのだ。
そして、この短さの中に巧みに織り込まれていく伏線。
徐々に盛り上がっていくサスペンス。
結末こそたしかに読者の想定内であるにもかかわらず、
題名の意味がやっと知らされるのは最後の一行。
ある者は「ああ」と深く溜息をつき、
ある者は「そうだったのか」とはたと膝を打つだろう。
ぶわっと溢れ出る涙を抑えられなくなる読者も多いはず。
それが本作をいつまでも印象に残る一作へと
昇華させている所以だろう。
傑作である。
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