短編ミステリと言いながら、ここまでシリーズ中の一作を選んできてしまったので、ここらで本当の単発物を。
- 作者: 藤田和日郎
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1995/07
- メディア: コミック
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大正浪漫な時代を舞台として(時代の必然性があるわけではないが、こういう選択をするところも、作者のミステリ心の表れのように思う)、大仕掛けなトリックに意を用いた、古き国内ミステリの味わいを持った好品。
中でも特に、夢の意味が解明されるシーンは、相当に刺激的で、ぞくぞくとさせられた。ミステリの暗い愉悦に満ち満ちている。このシーンだけでも、充分な傑作であると確信する。
残酷な描写もあるので万人にはお薦めしないが、風変わりなトリックを愛好する物好きな方々(当然私もそうだ)、暗黒な領域に一歩踏み込んだ古き国内ミステリを愛する方々であれば、間違いなく一読の価値有りかと思う。