新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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ヒッチコック劇場 シーズン1 第四話「ひき逃げを見た」

12/13 AXNミステリー放映作品。このブログのコメントでお薦めをいただいた作品。

第4話「ひき逃げを見た!」
I Saw the Whole Thing
推理作家バーンズはひき逃げの罪で告訴されてしまう。事故の目撃者である5人全員が「車は一時停止しなかった」と証言するが、バーンズは自ら弁護人となって出廷し、目撃者それぞれの過去や心理状態を露呈。次々と目撃証言の不確かさを証明するが…。

なんとなく題名に聞き覚えがあると思ったら、唯一所持しているヒッチコック劇場のDVD-第四集-(あのロアルド・ダール「南から来た男」を原作とする「指」を収録)に、ボーナス・エピソードとして入ってた作品だった。

ヒッチコック劇場 第四集 [DVD]

ヒッチコック劇場 第四集 [DVD]

うわあ、だいぶ前に見ちゃってたので、初見のときの印象を覚えていない〜。
そんなわけで「これはやられた」という記憶は残ってはいないんだけども、客観的に見ればこれはたしかに上手い。
つかみも抜群ながら、中盤の法廷シーンが圧巻。被告自らが弁護を担当し、目撃者である証人達の証言を一つ一つ打ち崩していくあたりは、かなり興奮できる。
そして結末だ。観客の視点を自分の手に集めておいて、逆の手でネタを仕込んでいるマジシャンの手管。
うふふ、お見事〜。
 
てなあたりをヒッチコック自身も感じ取っていたのか、これは珍しくも自身の監督作。冒頭のストップ・モーションのシーケンスなんか、たしかにそれを感じられるな。
ミステリ・ファン的にも結構おいしい作品で、原作は「メルトン先生の犯罪学演習」(懐かしい!)のヘンリー・セシルだし、脚本もヘンリー・スレッサーが担当。
原作・脚本・監督と三拍子揃ったにふさわしく、ミステリ・ファンを満足させる秀作。