新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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地を這う魚 ひでおの青春日記

吾妻本人に関わってくる人物は全て動物で描かれていたり(除く、女の子)、背景世界は全て不条理に満ち満ちているが、基本は実話のエピソード。1968年(作者18歳の頃)の話なので、なとなく風俗はわかるものもあるが、さすがにリアルタイムな共感は覚えられない時代。実名登場人物も、大物はわかるものの、その他は結構きついかな。
 
食べるだけでも汲々とする頃を描いてるので、全体的にちょっと陰鬱なムードが流れてる。でも、吾妻ひでおが自分を描くときって恒に被虐的な状況でしかないから(という自分のイメージだが)しょうがないのか。
 
「青春日記」というイメージとは裏腹だが、だからこそ「地を這う」という言葉が一番先に立ってるのかも。