新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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情婦

7月に購入したDVDで鑑賞。

どんでん返し映画といえば、必ず名前の挙がる名作中の名作。
とはいえ、ご存じの如く、クリスティ「検察側の証人」が原作(元々も戯曲)なので、わかってて見る分には勿論さほど衝撃はない。
原作でも二段階の驚きポイントがあると思うが、本作では更にもう一段どんでんが加わっている。しかしながら、それはいかにもハリウッド的などんでんなので、これでもっといい作品になったかどうかは、大いに評価が分かれるところだろう。
 
但し、弁護士のキャラクタ設定を初めとして、映画としてのふくらまし方/見せ方は巧み極まるもので、この原作の”ハリウッド映画化”という意味では、先の改変も含めて”完璧な出来”と呼んでもいいのではないだろうか。
さすがだぞ、ビリー・ワイルダー!!!
 
ただねぇ、原作者や監督とは全く関係のない世界で、一つだけ不満があるぞ。
 
なんやねん、この邦題は?!
 
超好意的な解釈を思い付いたが、ネタバレになりかねないので、こちらから。
 
 
 
 
 
扇情的な題名で観客を煽るという、大人で俗な理由だけではなく、
結婚は無効で内縁関係でしかない、ということを暗示していたのだ。
 
ということを実は更に隠れ蓑にして、言葉の印象とは裏腹だけど、
文字としてそのまま読めば”情のある婦(おんな)”であるという
真相を、ひっそりと、しかし堂々と、示していたのだ!
 
……ってのは、やっぱり好意的過ぎる解釈だよなぁ〜。