【奇術探偵ジョナサン・クリーク(ほぼ)全作レビュー】
#8 「時は待たない」
編集者のバリーとともに大手出版社の重役アントニアの家を訪れたマドリン。その家には針のない時計がたくさん飾られていた。ある晩、アントニアの夫のノーマンがニューヨーク出張から帰宅すると、ハンバーガー屋の店員が彼の財布を家に届けに来ていた。財布を落とした日は、ノーマンは出張中の日で、どうして同じ日に財布が落とされたのか謎であった。マドリンとジョナサンは真相を確かめるため、捜査に乗り出す。
魅力的なドッペルゲンガーの謎。
針のない時計だらけの家というスタイリッシュな幕開けから、謎の提示に至るシーケンスがくすぐる。
今度は前作と違って、発想の枠の拡がりようのある作品。幾つかの方向性から攻めることの出来る作品だが、さて、あなたにこの謎は解けるだろうか?
定型的なテーマにもなりそうな謎を、上手く処理した作品。やはりこのシリーズらしいシンプルな方向性で、きっちりと説明し尽くしてくれる。
ただ、人情的にはすっきりしない締めくくり方だったような気も……